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last updateBack Number |2003.9.15

-5- 噂 (1/3)

 


 写真表現に興味を持ち、ギャラリーなどへ出歩くようになり、それなりに知り合いもできてくると、誰の耳にも噂のひとつやふたつは入るようになるだろう。曰く、「あの人は今はこういう作品作ってるけど、じつは昔はあんなことやってたんだよ」とか、「あの人はね、ほんとうはこういう人なんだよ」とか、「あの作品はみんなにこういう評判なんだよ」とか、云々。こういうのは上品な例だが。

 かつてテクスト論は、読者の誕生と作者の死を対置した。むろん、だからといって現実に作者がいなくなったわけではないのは周知の通りである。作者の自明性が疑われた結果、むしろ以前より、何かしらの形で作家が語り/語られなければならなくなったといっていい。
 作品がテクストとして読まれるということは、作者が作品を支える特権的な存在ではないということであり、したがって、今日の作品は、自らを支える外部をどこかに持たざるをえない。典型的な外部の例としては、美術館や評論などがあげられるだろうが、外部というのは何かであれば何でもいいのであって、そういった典型的なものである必要はない。典型的なものは、単純(な人)に特権的なものと見なされやすいことを考えれば、そうでない方がいいくらいだ。
 その意味で、噂とはさりげないながらもテクストの外部であり、それゆえ、「じつは」とか「ほんとうは」とか「みんな」といった、あたかも真実であるかのような言述の形をしていることもしばしばだ。


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