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-34- 白 (3/7)

 


 引き伸ばし機を使って写真を焼くようになった頃、RCペーパーが登場した。樹脂加工してあるこの紙は、処理中も処理後も絶対にフニャフニャにならない。押しがきかないとか、階調が浅いとか、味わいがないとかいわれていた気がするが、あの扱いにくい薄手バライタ紙にくらべれば、はるかに使い勝手がいい。
 樹脂加工された、いかにも人工物のような質感も好きだった。あのペラペラした感じは、複製技術の写真にふさわしいではないか。
 しかし、その後、オリジナルプリントがブームになって、またバライタ紙も使うようになった。作品用のバライタ紙は厚手のもので、現像液に入れてもコシがあって、薄手のものほど処理はたいへんではない。
 だが、乾燥はあいかわらず難しかった。たしか、はじめの頃は、ボードとプリントを接着ティッシュで圧着する、ドライマウントという方法もやっていた。これにオーバーマットをつけて、ブックマットにして作品にするのである。無酸性紙がどうのとかいいながら、ボード・接着ティッシュ・オーバーマットを用意すると、金もかかるし、手間もかかるし、器具もいる。めんどうなので、あっという間にやらなくなった。
 平らなところに置いて、乾燥してカーリングしてきたら裏返す。それを繰り返して、最後に重いもので圧しをかけるなり、プレスするなりして、乾燥していた気がする。平らに乾燥させるのは、焼くのと同じくらい、いや、焼くのより手間がかかった。
 なぜそんなに手間をかけたことをやっていたのだろう。バライタ紙の扱いは、とにかく時間がかかる。一日がかりの仕事になる。手間をかけたものは、いいものであるような気がする。あんがい、そんな単純な理由なのだろうか。
 あるいは、ついこの間まで、いまだ、ここだといっていたのに、こんどは永遠を見つめはじめる、そんなささやかな倒錯を気に入っていたからだろうか。

 


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