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東京国立近代美術館で、非常に興味深い「木村伊兵衛展」を見ることができた。今回の展覧会は、通常の企画展示室において開催されているのではなく――ちなみにこちらでは「草間彌生展」が開催されていた――、常設展示室においてである。しかも、常設展示室の一室を、丸ごとそのための展示スペースに充てるだけではない。かの美術館が誇るコレクションによって構成された、日本の近代以降の美術史を示す、クロノロジカルな展示構成の間を縫うようにして――あたかも木村の「報道写真」が歴史の社会的背景を保証するかのように――散発的に配置されてもいる。わかり易い例を出せば、木村が東方社時代に撮影した『FRONT』のグラビアページは、戦争画のすぐ傍に展示されている、といったように[註1]
断っておくと、私がここで「興味深い」のは、木村伊兵衛という著名な写真家の「作品」そのものではない。むしろそれは、日本近代の写真が自立的表現としての成立を歩み始めるその黎明期に活動を開始しながらも、広告や宣伝、報道といったあらゆるジャンルに関わりつつ、最終的にはある種の大衆性を伴った、固有の「写真家」として認められるに至る、木村の活動の軌跡のほうである。

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