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076/アサヒカメラ 3月号 FRONT RUNNER イメージの開拓者たち 3 取材/構成:富田秋子
『SM TABLOID』『世界I』本山周平
 
 およそ4年間にわたって写真冊子『SM TABLOID』を自主発行してきた本山周平さん。テーマや撮影地を変えながら年間3、4冊を制作するという密度の高い活動を行ってきた。毎号掲載される写真には、被写体に対する作家の新鮮な驚きが失われることなく見る者に伝わってくるところがその魅力といえそうだ。
『SM TABLOID』は何号まで出しているんですか?
「15号までです。作品が展覧会だけで終わらずに、こういう印刷媒体で広がっていけば面白いんじゃないかと思って。グループ展も入れると年間3、4回展覧会を行ってきたんですが、『SM TABLOID』もそのつど発行してきました」
―かなりのハイペースですね?
「絶えず次ぎの準備をしている状態です。もう自意識なんてなくなりますよ(笑)。自分の作風にこだわったり計算したりしている暇はないから、現場で感じたことをそのまま撮って発表するんです。そういうやり方が写真らしくていいんじゃないかと思っています」
―型もA3とかなり大判ですね。
「非経済的ですよね(笑)。展覧会をやり始めたときはプリントもロール紙で大伸ばしにしてたんですけど、全国どこのギャラリーでも展示できるように途中からサイズを小さくして8×10にしたんです。その分、印刷では大きくしたかった」
―4年間続けてきて、得られたものは何だと思いますか?
「ダメな写真というものはないんだと思えるようになったことですね。シャッターを押したものはすべてフィルムに残っているわけです。掲載できる写真の数は限られているので選ばなくちゃいけないんですけど、いい写真を選ぶことができるということは、ダメな写真を選ぶこともできるわけで、むしろダメな写真だからこそ面白いこともある。そうやって?選べるもの?として写真が存在していることがとても楽しい。どんな写真でも『SM TABLOID』は作ることができる、そう思えたのは、4年間ずっと同じペースで作り続けてきたからだと思います」
―フィルムへの思い入れが強いようですが?
「物になって残るということが、とても重要なんです。例えば手で触れるとか、重みが感じられるとか。それに、手を使って作っていく作業が好きなんですね。ネガを現像してベタにおこして、印画紙にプリントする、その過程がいちばん大切で、そこをすっとばしてしまうことは自分にはできないですね」
―一貫してモノクロですよね?
「モノクロのほうがより?物?として感じられるというか、銀が定着していく感じが好きなんです」
―今回、持ってきていただいた写真はどこの風景なんですか?
「東京の大久保にある公園です」
―天気がいいのに傘をさしている子供たちや、そのさらに後ろのベンチに座っている人たちの身ぶりも独特です。本山さんは不思議な雰囲気の人や風景を見つけるのがとても得意なのでは?
「面白いと思う被写体をみつけたら、一瞬でさっと撮るんです。これはもう瞬間芸ですね(笑)
―一冊分撮るのに、撮影はどのくらいかけるんですか?
「いろいろですが、一日で撮れてしまうこともあります。最近制作したばかりの写真集『世界I』は、選ばない、という方法を徹底してみたかったんで、沖縄の中城城趾を一日で撮って、その写真全部を載せました。見開き片ページに1点ずつ、撮った順に6×7のベタを並べているんですけど、400ページあるんで写真も200点、フィルムにすると20本分ですね」
『世界I』ということは『II』もあるんですか?
「今までは国内が多かったので、これからは海外を撮りながら、このシリーズを続けたいと思っています。エッジというか地理的にも文化的にも末端の場所に惹かれるので、樺太やイスタンブールにはぜひいってみたいですね」
 
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