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第15回 photographers' gallery講座

「写真開拓史――イメージとピースのあいだで」
講師:三井圭司(東京都写真美術館専門調査員) 
司会:斎数賢一郎

2007年4月21日(土) 19:00〜

 日本における写真黎明期のいわゆる「古写真」は、物そのものとして貴重なだけでなく、当時の写真の扱われ方が今とは全く異なっていることを私たちに直接示してくれます。現在東京都写真美術館で開かれている展覧会「夜明けまえ――知られざる日本写真開拓史 I. 関東編」は、鶏卵紙やダゲレオタイプの「古写真」を数多く集めた、非常に興味深い展示となっています。そこで今回は、この展覧会を企画された三井圭司さんをお招きして、調査の過程や実際の展示作業の裏側をお話いただくのと同時に、まだ写真が「ピース(ひとつの物)」として扱われていた明治期を通じて、現在の写真の問題を議論していきたいと考えています。

「写真開拓史」三井圭司


 東京都写真美術館で開催されている「夜明けまえ――知られざる日本写真開拓史 I.関東編」は、「古写真は現在、どれくらい現存し、私たちはどれくらいそれに触れることができるだろう」という素朴な疑問から出発した連続企画の第一弾です。そもそも「古写真」とはどういうものなのでしょうか。そして、古写真におけるイメージとピースの関係とは、いったいどのようなものなのでしょう。そして、古写真から照射される写真の固有性というものがあるとすれば、それはどのようなものなのでしょうか。
 今回の講座では、写真を考える上で、ここに内包される「古写真」へ視線を向けてみたい。

講座報告




 「夜明け前――知られざる日本写真開拓史 I.関東編」の展示品のスライドに詳細な解説を加えながら、「古写真」におけるイメージとピースの問題についてお話し頂きました。そこでは写真の複製性と物質性が主要な問題系として浮かび上がってきます。写真史においては重要視されないものの、それを支える鑑定では必須要件となる、台紙や刻印といった画像以外の情報を捨象してしまうことに対する疑義が差し挟まれました。例えば、他人の写真を別の写真師が自らの刻印を押して販売していた状況などが紹介され、当時の写真受容を知る手掛かりとして、画像以外の部分に残されている「痕跡」に注目する必要があることが指摘されました。 質疑応答ではデジタル・アーカイブをめぐって、写真の保存と公開についての議論が交わされたことも含めて、まさに写真の「裏側」をめぐる三井氏の講座は、学芸員という立場ならではの問題提起だったのではないでしょうか。

米田拓朗


講師略歴



三井圭司 MITSUI Keishi

東京都写真美術館専門調査員。1970年生まれ。京都造形芸術大学大学院修了、芸術学修士。主要な研究テーマは近代美術、19世紀写真史。川崎市市民ミュージアム、埼玉県立近代美術館の非常勤職員を経て現職。2003年「写真と絵画の展覧会 士 (さむらい) ―日本のダンディズム―」、現在開催中の「夜明けまえ――知られざる日本写真開拓史 I. 関東編」等の展覧会を手がける。著書に、『士―日本のダンディズム―』(共著、二玄社、2003年)、『写真の歴史入門―第1部「誕生」新たな視覚のはじまり―』(東京都写真美術館監修、新潮社、2005年)など。
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