講座概要
心霊写真は怖い。
「怖さ」の理由は、写真の向こうの幽霊にあるのだろうか? 霊の因縁の物語にあるのだろうか? 霊が「祟る」からなのか、「呪う」からなのか? 心霊写真について「かたる」と、ひとは、一方で期待に目を輝かせ、他方でいぶかしい視線をこちらに投げかける。なかには私は見えるというひとまでいる。霊は「ある」と言い張るひともいれば、霊は「ない」と言うひともいる。
しかし、心霊写真の怖さは実はそうしたところにはない。心霊写真のかたりにおいて見逃されているのは、イメージの薄膜にはさまった幽霊という半透明な存在である。心霊写真の歴史を辿れば分かるように、心霊写真を見るということは、写真というイメージを通じて「見る」ことと「ある」ことのつながりを危うくし、見ることに支えられた現実の存在の不確かな縁に足を踏み出す実践でもあった。このレクチャーでは、心霊写真の系譜をその起源から現在までたどりながら、心霊写真論は写真論であるということを話してみたい。
前川修
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