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第2回 2006年9月30日(土)18:00〜 

「写真のなかの幽霊」
 講師:前川修(写真論・神戸大学助教授)
司会:斎数賢一郎

講座概要



心霊写真は怖い。

「怖さ」の理由は、写真の向こうの幽霊にあるのだろうか? 霊の因縁の物語にあるのだろうか? 霊が「祟る」からなのか、「呪う」からなのか? 心霊写真について「かたる」と、ひとは、一方で期待に目を輝かせ、他方でいぶかしい視線をこちらに投げかける。なかには私は見えるというひとまでいる。霊は「ある」と言い張るひともいれば、霊は「ない」と言うひともいる。

しかし、心霊写真の怖さは実はそうしたところにはない。心霊写真のかたりにおいて見逃されているのは、イメージの薄膜にはさまった幽霊という半透明な存在である。心霊写真の歴史を辿れば分かるように、心霊写真を見るということは、写真というイメージを通じて「見る」ことと「ある」ことのつながりを危うくし、見ることに支えられた現実の存在の不確かな縁に足を踏み出す実践でもあった。このレクチャーでは、心霊写真の系譜をその起源から現在までたどりながら、心霊写真論は写真論であるということを話してみたい。

前川修

講座報告



「心霊写真について語ることは写真を語ることになる。」今回の講座は、この奇異にも思われる前川氏の発言から始まりました。しかし、両者が境界線上の存在として中間的な位置をもつことが様々な観点から示され、心霊写真の系譜をいくつかの類型とともに辿っていくことで、心霊写真論と写真論との間にある等号関係が明証されていきます。その後、現代の日本ホラー映画における心霊表象を紹介しながら、新しいメディアに心霊写真がとり憑くこと、すなわち、影響を与え、かつ吸収されていることに話は及び、デジタル時代の写真をその「亡霊性」から捉えるべきではないかという重要な示唆がなされました。質疑応答において、デジタル時代における写真の指標性をめぐる応答がなされたこともあわせて、心霊写真について語ることの現在的意義が強く実感できる講座となりました。
米田拓朗




前川修 MAEKAWA Osamu

1966年生まれ。京都大大学院修了。写真論、視覚文化論、芸術学。現在、神戸大学文学部芸術学助教授。著書に『痕跡の光学—ヴァルター・ベンヤミンの「視覚的無意識」について—』(2004/晃洋書房)、共訳にジル・モラ『写真のキーワード—技術、表現、歴史—』(2001/昭和堂)ほか、「パノラマとその主体」など論稿多数。関西を中心に活動する写真研究会に参加、「セクーラのアーカイヴ論」(2003)を発表。

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